• デジタルプリント
  • ポラロイド
2017
ポラロイドのシリーズ「花」は、三色分解の手法を利用し、三脚で固定されたカメラに赤、緑、青のフィルターを使用して3回に分けて露光されたイメージである。 同時ではなく、3色に分解した光を重ねることでつくられた1枚のイメージは、写真という行為に時間の経過という概念を再び与えることになる。(写真史初期では低感度の感光剤を使用していたため、一枚のイメージの露光時間は1時間を超えることもあった。) 花がかすかに動くことで、そこに漂っていた風の存在や時間の流れが明らかになる。脱構築されることで生じた違和感は、写真の色がどのように解釈されるかということ、またテクノロジーによってつくられた私たちが持っているヴィジョンを再解釈させ、別の世界へのまなざしを示唆している。 花の動きによって可視化された色と色の隙間は、イメージを作るために開発されたテクノロジーの歴史に潜む幽霊の存在を感じさせる。おそらく野原を歩き廻る幽霊の存在を。
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年輪
  • 写真
2015
「Cerne / 年輪」は、過ぎ去った年の回数分、額に入れられ再撮されたモニュメントの写真のシリーズである。1枚目の写真が再撮されることで遺す抽象的な影は、私たちにコメモレイションとは何かということを考えさせる。何を思い起こすことが出来るであろうか。 ”問題は、人々が写真をとおして記憶することではなく、写真のみ記憶することである” - スーザン・ソンダク『他者の苦痛へのまなざし』- このシリーズの初めの写真は、1945年8月6日、広島・原爆死没者慰霊碑に記されている碑文がタイトルとされている: “ 安らかに眠ってください 過ちは繰返しませぬから ” 写真装置に写されることで消されたメッセージは、複製により終わりなく変化し続ける。「写真」は表象の最大の可能性であると同時に、唯一の可能性である。記憶をとどめながら、流れに逆らいながら。
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旧日本銀行広島支店
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